羅生門·芥川龙之介( 芥川竜之介)


    羅生門·芥川龙之介
あくたがわ りゅうのすけ

 
     ある日の暮方の事である。一人の下人げにんが、羅生門らしょうもんの下で雨やみを待っていた。
       (有一天的暮方的事情或者某日的傍晚)(一个人的下人)(在我们的罗生门下面等雨)
        这是某日暮方①的事。有个下人,在罗生门下避雨。
暮方指傍晚。


 
         広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗にぬりの剥はげた、大きな円柱まるばしらに、蟋蟀きりぎりすが一匹とまっている。
        (在宽广的门下,除了这个男人谁也不在。)(只是在朱漆斑驳的一个大圆柱上蹲着一只等待的蟋蟀。)
        在宽广的门下,除了这个男子,别无他人。只是在朱漆斑驳的一个大圆柱上蹲着一只蟋蟀,它在等待。


 
         羅生門が、朱雀大路すざくおおじにある以上は、この男のほかにも、雨やみをする市女笠いちめがさや揉烏帽子もみえぼしが、もう二三人はありそうなものである。それが、この男のほかには誰もいない。
        (罗生门就在朱雀大路上,本该有二三个戴女笠和乌软帽的避雨男女,但这时除了这个男的,谁都不在。)
        罗生门就在朱雀大路上。本该有二三个戴女笠和乌软帽的避雨男女,但此刻,除了这个男的,谁都不在。

 
         何故かと云うと、この二三年、京都には、地震とか辻風つじかぜとか火事とか饑饉とか云う災わざわいがつづいて起った。そこで洛中らくちゅうのさびれ方は一通りではない。
        (因何缘故呢?这二三年,在京都,地震、旋风、火灾、饥饿等灾难连续发生。京都也格外冷淡了)
         这是何故?原来这二三年,在京都地震、台风、火灾、饥饿等灾难连续不断发生。京都格外冷清了。


 
        旧記によると、仏像や仏具を打砕いて、その丹にがついたり、金銀の箔はくがついたりした木を、路ばたにつみ重ねて、薪たきぎの料しろに売っていたと云う事である。
       (旧有的记录显示,佛像被打碎、附有金银箔穿附了的木头随地堆积,草料到处可见。就是说。)
         旧有的记载显示:佛像等器具被打碎、被金银箔穿附了的木头草料随地堆积,到处可见。就是说


 
        洛中がその始末であるから、羅生門の修理などは、元より誰も捨てて顧る者がなかった。するとその荒れ果てたのをよい事にして、狐狸こりが棲すむ。盗人ぬすびとが棲む。
      (京都市的这种情况,罗生门的修理等,没有比原来谁都舍弃的人。)(于是就把那荒芜的事做为好的事,狐狸湮没有栖,盗贼栖息。)
      京都的这种情况,导致罗生门的修理这件事变得无人问津。由于京都的荒芜,便为狐狸湮没有栖、盗贼栖息做了“好事”。

 
とうとうしまいには、引取り手のない死人を、この門へ持って来て、棄てて行くと云う習慣さえ出来た。そこで、日の目が見えなくなると、誰でも気味を悪るがって、この門の近所へは足ぶみをしない事になってしまったのである。 
(最后终于到了变成一种习惯,把断臂的死人背来扔到罗生门下来了。)(于是,到了天的眼睛看不见的时候,无论谁心间都有不好感觉,这罗生门附近的人也都足不出户,鲜少有人来了。)
  最后终于养成了一种习惯:把断臂的死人拖来扔到罗生门下。于是,一旦到了天色黯淡的时候,这罗生门附近的人们心间都有不好的感觉,也就都足不出户,谁都不来了。
 

その代りまた鴉からすがどこからか、たくさん集って来た。昼間見ると、その鴉が何羽となく輪を描いて、高い鴟尾しびのまわりを啼きながら、飛びまわっている。
(那是因为,不知从哪里开始,又来了群乌鸦,聚集了很多。)(白天看的话,都是白描画般的乌鸦的翅膀,周围满是它们的啼叫声,飞来飞去。)
  不知从哪里开始来了群乌鸦,聚集了很多。白天看的话,都是白描画般的乌鸦翅膀,飞来飞去,周围满是它们的啼叫声。


 
ことに門の上の空が、夕焼けであかくなる時には、それが胡麻ごまをまいたようにはっきり見えた。鴉は、勿論、門の上にある死人の肉を、啄ついばみに来るのである。
(特别是在罗生门的上空,夕阳西下日头红彤彤的时候,看上去,很清楚地感觉象黑芝麻点点。)(乌鸦就是来在啄食城门上的死人肉)
  夕阳西下日头红彤彤的时候,特别是在罗生门的上空,能很清楚地看到它们象黑芝麻一大片黑点点。乌鸦是来啄食城门上的死人肉的。



 
――もっとも今日は、刻限こくげんが遅いせいか、一羽も見えない。ただ、所々、崩れかかった、そうしてその崩れ目に長い草のはえた石段の上に、鴉の糞ふんが、点々と白くこびりついているのが見える。
(——今天也许是因为太晚了吧,所以看不到一只乌鸦。)(在崩塌的长着长长的草的石阶上,有点点和着白色的乌鸦粪便,随处可见。)
  ——今天也许是太晚了吧,看不到一只乌鸦。在崩塌的石缝里长着长长草的石阶上,点点和着白色的乌鸦粪便,随处可见。



 
下人は七段ある石段の一番上の段に、洗いざらした紺の襖あおの尻を据えて、右の頬に出来た、大きな面皰にきびを気にしながら、ぼんやり、雨のふるのを眺めていた。
(那下人一屁股坐在七段石阶最上的那一阶,穿着洗旧的深蓝色的隔扇青色衣服,在他右边的脸颊上长着大脓包粉刺,茫然地望着下雨的故乡。)
   这下人穿着洗旧的深蓝隔扇青色袄子,用手抚着右边脸颊上的大脓包粉刺,一屁股坐在七级石阶的最上一阶,茫然地望着下雨的故乡。

 

作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた」と書いた。しかし、下人は雨がやんでも、格別どうしようと云う当てはない。
(作者写是写那下人在雨中等待着雨停。)(但那下人等的停的雨停了,也没有什么特别的办法与出路)。
  作者说是这下人在雨中等待着雨停,但实际上就算这下人等的停的雨停了,他也没有别的去处或者出路。

 
ふだんなら、勿論、主人の家へ帰る可き筈である。所がその主人からは、四五日前に暇を出された。前にも書いたように、当時京都の町は一通りならず衰微すいびしていた。今この下人が、
永年、使われていた主人から、暇を出されたのも、実はこの衰微の小さな余波にほかならない。
(若在平时的话,那步行回主人家应该合适。)(但由于当时京都已经衰败不堪,但四五天前,他已经从自己所从的那家主人家被辞退了,闲置了出来。其实这是这萧条的小余波)
  若是往常,他返回主人家是再合适不过了。但由于京都都已经衰败萧条不堪,在四五天前,这个下人已从自己所从的那家主人家被辞退,闲置了出来。其实这是这萧条的小余波。


 
だから「下人が雨やみを待っていた」と云うよりも「雨にふりこめられた下人が、行き所がなくて、途方にくれていた」と云う方が、適当である。その上、今日の空模様も少からず、この平安朝の下人のSentimentalisme に影響した。
(所以,那下人在雨中等着雨停,与其说是等着雨停,倒不如说是被雨淋湿的下人,没有地方可去。)(而且,今天的天气也影响到并且也不眷顾这位平安朝的下人。)
   因此,与其说那下人在雨中等着雨停,倒不如说是被雨淋湿的下人,没有地方可去。今天的天气也影响着并且也不眷顾这位平安朝下人的郁闷心情。


 
申さるの刻こく下さがりからふり出した雨は、いまだに上るけしきがない。そこで、下人は、何をおいても差当り明日あすの暮しをどうにかしようとして――云わばどうにもならない事を、どうにかしようとして、とりとめもない考えをたどりながら、さっきから朱雀大路にふる雨の音を、
聞くともなく聞いていたのである。
 (当然会是从申末的时辰开始下的雨,到酉时至今没有停下来。)(因此,下人一边在考虑明天的生活该怎么过,,一边无意地听着从刚才开始到朱雀大路的雨的声音也,想着就是从无法解决的事情去想办法)
   从申末这一刻开始下的雨,到酉时至今没有停下来。下人一边考虑着明天的生活怎么过,一边有意无意地听着从刚才开始一直到朱雀大路的雨的声音。



 
雨は、羅生門をつつんで、遠くから、ざあっと云う音をあつめて来る。夕闇は次第に空を低くして、見上げると、門の屋根が、斜につき出した甍いらかの先に、重たくうす暗い雲を支えている。
 (雨包裹着罗生门从远方,连同着云哗啦啦地聚集过来。)(暮色逐渐地从天空低下来,抬头仰望,门楼屋顶上斜出薨薨的飞檐在前方挑起一朵一朵沉重的暗云。)
   雨声包裹着罗生门从远方,夹带着云哗啦啦地聚集过来。暮色逐渐从天空压过头顶。抬头仰望,门楼屋顶上斜出甍甍的飞檐在前方迎接着一朵挨一朵的暗云。


 
どうにもならない事を、どうにかするためには、手段を選んでいる遑いとまはない。選んでいれば、築土ついじの下か、道ばたの土の上で、饑死うえじにをするばかりである。そうして、この門の上へ持って来て、犬のように棄てられてしまうばかりである。選ばないとすれば――下人の考えは、何度も同じ道を低徊ていかいした揚句あげくに、やっとこの局所へ逢着ほうちゃくした。
(没有什么可改变的事情,为了想办法,即使不择手段也不能让自己宽心。)(如果选择手段的话,那就只有饿死在筑土的下面,在路边的土上)。(然后,被人扔到这门下象狗一样被丢弃。)(如果不选择手段的话,那下人的想法在心中反复考虑并且又从那条路回到了这边来,)
要从不可改变的事情中找办法,便只有不择手段,但即便不择手段也不能让自己宽心。如果选择手段,那就只有饿死在筑土②的下面,在路边的土上,然后被人扔到这门下,像狗一样被丢弃。如果不择手段,这个下人反复来回考虑了很多遍,又回到了路的这边来。
②筑土:指垃圾堆。



 
しかしこの「すれば」は、いつまでたっても、結局「すれば」であった。下人は、手段を選ばないという事を肯定しながらも、この「すれば」のかたをつけるために、当然、その後に
来る可き「盗人ぬすびとになるよりほかに仕方がない」と云う事を、積極的に肯定
するだけの、勇気が出ずにいたのである。
 (但是,这个“如果”是无论到什么时候,结局还是“如果”依旧存在,那下人肯定地想,如果是不选择手段把做盗贼这个事情积极的肯定不下来,因此也就谈不上勇气的存在。)
   可是,这个“如果”想来想去还是一个“如果”。原来这个下人将既定的不择手段再加上一个“如果”对于以后去当小盗贼的事,当然也就提不起勇气来了。
 

下人は、大きな嚔くさめをして、それから、大儀たいぎそうに立上った。夕冷えのする京都は、もう火桶ひおけが欲しいほどの寒さである。風は門の柱と柱との間を、夕闇と共に遠慮なく、吹きぬける。丹塗にぬりの柱にとまっていた蟋蟀きりぎりすも、もうどこかへ行ってしまった。
 (那下人打了个大喷嚏,然后在那样对立的立场上站住了脚。)(晚凉的京都越来越是想要的寒冷)(在黄昏的暮色里,风与门柱和柱之间吹着)(那只蹲在朱漆圆柱上的蟋蟀已经不知道到哪里去了。)
   那下人打了个大喷嚏,大模大样地站了起来。在黄昏的暮色里,风在门柱与柱之间吹着,晚凉的京都已经越来越寒冷了。那只蹲在朱漆圆柱上的蟋蟀已经不知道去哪里了。



 
下人は、頸くびをちぢめながら、山吹やまぶきの汗袗かざみに重ねた、紺の襖あおの肩を高くして門のまわりを見まわした。雨風の患うれえのない、人目にかかる惧おそれのない、一晩楽にねられそうな所があれば、そこでともかくも、夜を明かそうと思ったからである。
(下人缩着脖子,耸起深蓝隔扇青色袄子把门的四周看了看)(如果一晚上有轻松的地方,不怕风雨忧患,并且不被人注目,不管在哪里也不用犯愁夜在哪里过了)
  下人缩着脖子,耸起深蓝隔扇青色袄子,朝门内四下里张望了一下。如果有一个地方能让人放松并且又不怕风雨,又不引人注意能好好休息,那就决定在这个地方过夜。



 
すると、幸い門の上の楼へ上る、幅の広い、これも丹を塗った梯子はしごが眼についた。上なら、人がいたにしても、どうせ死人ばかりである。下人はそこで、腰にさげた聖柄ひじりづかの太刀たちが鞘走さやばしらないように気をつけながら、藁草履わらぞうりをはいた足を、その梯子の一番下の段へふみかけた。
 (于是,幸运地发现在楼上的楼,宽宽的,也涂着金箔漆的梯子)(若是上面即便有人的话,终归是死人。)(下人站在那里留意着腰间一柄圣太刀,免得从刀鞘滑出。穿着稻草鞋的脚走到那个梯子最下面的一级台阶。)
于是,他幸运地发现楼上宽宽的也涂着金箔漆的梯子。若是上面即便有人话,终归也是死人。下人留意着腰间那柄圣太刀,避免它出鞘。抬起穿着草鞋的脚走到了那个梯子最下面的一级台阶。

 

 
それから、何分かの後である。羅生門の楼の上へ出る、幅の広い梯子の中段に、一人の男が、猫のように身をちぢめて、息を殺しながら、上の容子ようすを窺っていた。楼の上からさす火の光が、かすかに、その男の右の頬をぬらしている。短い鬚の中に、赤く膿うみを持った面皰にきびのある頬である。下人は、始めから、この上にいる者は、死人ばかりだと高を括くくっていた。
(然后,几分钟以后。)(就在罗生门楼上,宽度的梯子中段,一个男人,像猫一样缩着身子,一边屏住呼吸,一边窥探着楼上的人。)(从楼的上面斜照的光微微地沾湿了这个男人的右脸颊。)(短胡子中,红肿粉剌有脓脸颊。)(那下人是从一开始就估计这上头只有死人。)
  几分钟后,就在罗生门门楼上宽广梯子的中段,有一个男人,像猫一样缩着身子,一边屏住呼吸,一边窥探楼上的人的情况。楼上斜照的光微微漏下,隐约照在这个男人的右脸颊上:短胡子中长着红肿粉剌有脓的脓疮。从一开始,这个下人就估计这上头只有死人。



 
それが、梯子を二三段上って見ると、上では誰か火をとぼして、しかもその火をそこここと動かしているらしい。これは、その濁った、黄いろい光が、隅々に蜘蛛くもの巣をかけた天井裏に、揺れながら映ったので、すぐにそれと知れたのである。この雨の夜に、この羅生門の上で、火をともしているからは、どうせただの者ではない。
 (可是,把梯子走到二三段看,上面有谁点着火,并且那火把好象是在这里那里一闪一闪地晃动)(这时,那浑浊的黄光照到有一个蜘蛛在天花板上挂上巢湖,那巢湖在光的映照中摇晃。那就马上就知道了)(在这雨的夜里,在这罗生门上,在点燃的火焰,反正不是普通人。)
   可是,才上了二三级梯子,就发现有人点着火,那火在这里或者那里移动,那浑浊的黄光在屋顶满是蜘蛛网的天花板上摇晃。于是,这个下人马上就明白,在这雨的夜里,在这罗生门上,在这点火的绝不是普通人。


 
下人は、守宮やもりのように足音をぬすんで、やっと急な梯子を、一番上の段まで這うようにして上りつめた。そうして体を出来るだけ、平たいらにしながら、頸を出来るだけ、前へ出して、恐る恐る、楼の内を覗のぞいて見た。
 (下人壁虎似地蹑着脚步,尽量忍住足音,终于上到梯子的最上一级台阶。)(他尽量地放平伏倒身体,伸长脖子,提心吊胆地向前面楼房内张望)
   下人似壁虎般蹑着脚步,忍住足音。终于上到梯子的最上一级台阶。他尽量地放平伏倒的身体,伸长脖子,提心吊胆地向前面楼房张望。


 
見ると、楼の内には、噂に聞いた通り、幾つかの死骸しがいが、無造作に棄ててあるが、火の光の及ぶ範囲が、思ったより狭いので、数は幾つともわからない。ただ、おぼろげながら、知れるのは、その中に裸の死骸と、着物を着た死骸とがあるという事である。勿論、中には女も男もまじっているらしい。
(看见楼里有正如在大街上传闻中的几个尸体被随手丢弃了,火光照到的范围比想象得要狭小得多,所以数不清有几具。)(只是朦胧地知道是那里面裸露的尸体和穿着衣物的尸体这件事)(当然其中也有男人和女人在一起。)
   所见正如所闻:楼里有被随手丢弃的几个尸体。火光照到的范围要比想象得要狭小得多,所以数不清有几具。只是朦胧地看到那里面有裸露的、穿着衣物的尸体,当然,其中也有男人和女人。


 
そうして、その死骸は皆、それが、かつて、生きていた人間だと云う事実さえ疑われるほど、土を捏こねて造った人形のように、口を開あいたり手を延ばしたりして、ごろごろ床の上にころがっていた。しかも、肩とか胸とかの高くなっている部分に、ぼんやりした火の光をうけて、低くなっている部分の影を一層暗くしながら、永久に唖おしの如く黙っていた。
 (然后,那尸体全不象曾经活着的人,他们就象捏造土揉做的人偶一样,无所事事的地板上面有口开了然后摊开的手。)(而且在肩、胸部等提高的部分在朦胧的火之光,在那较低的部分阴影更暗,永久地沉默着。)
   这些尸体全不象曾经活着的人,他们就象捏造土揉做的人偶一样,无所事事地在地板上面张开口摊开手臂躺着。在朦胧的火光中,能看到肩、胸部等高出的部分,而那些较低的部分,阴影更暗,并且永久地沉默着。


 

 
下人げにんは、それらの死骸の腐爛ふらんした臭気に思わず、鼻を掩おおった。しかし、その手は、次の瞬間には、もう鼻を掩う事を忘れていた。ある強い感情が、ほとんどことごとくこの男の嗅覚を奪ってしまったからだ。
 (依此啊,这些死尸腐烂的臭味,不禁捂住了鼻子。但是,那手,在下一个瞬间,已经鼻子掩忘了吧。因为某强烈的感情,大部分都夺走了这个男子的嗅觉。)
   依此,这些尸腐烂的臭味散发开来,下人不禁捂住了鼻子,但是,在下一个瞬间,那手已经忘掩了鼻子,因为某种强烈的感觉,夺走了这个男人大部分的嗅觉。



 
下人の眼は、その時、はじめてその死骸の中に蹲うずくまっている人間を見た。檜皮色ひわだいろの着物を着た、背の低い、痩やせた、白髪頭しらがあたまの、猿のような老婆である。その老婆は、右の手に火をともした松の木片きぎれを持って、その死骸の一つの顔を覗きこむように眺めていた。髪の毛の長い所を見ると、多分女の死骸であろう。
  (那个时候,下人眼睛第一次看到这些尸体中蹲着一个等待着的人。穿着用丝柏树皮颜色织做的棕色衣服、矮,瘦瘦了,满头白发。那是猴子般的老婆婆。这老婆子右手点燃的松木片,被点亮的是一具尸体的脸覗きこむ一样地眺望着。看了头发的长长的地方,大概是女人的尸体吧。)
  那时,下人发现在这些尸体中蹲着一个人。那是个猴子般的老婆婆,她穿着用丝柏树皮颜色织做的衣服,矮矮,瘦瘦,满头白发。这老婆婆右手点燃着松木片,正在窥探一具尸体的脸,那具尸体头发很长,大概是女人的尸体。



 
下人は、六分の恐怖と四分の好奇心とに動かされて、暫時ざんじは呼吸いきをするのさえ忘れていた。旧記の記者の語を借りれば、「頭身とうしんの毛も太る」ように感じたのである。すると老婆は、松の木片を、床板の間に挿して、それから、今まで眺めていた死骸の首に両手をかけると、丁度、猿の親が猿の子の虱しらみをとるように、その長い髪の毛を一本ずつ抜きはじめた。髪は手に従って抜けるらしい。
(那下人六分恐惧四分好奇被打动了,暂时忘记了呼吸,连做都忘了。古时的记录的记者的话来说“毛骨悚然”像这样的毛感觉到了。老婆子将松木片插在地板之间,然后,到现在看到的那尸体的脑袋上,两手的话,正好,象猴子的孩子的父母的帮小猴子捉虱子为了取一本头发,一书各一本。头发好象是手穿过的)
   那下人带着六分恐惧四分好奇的心理,暂时忘记了呼吸。按照古时的记录记者的话来说就是“毛骨悚然”。老婆子将松木片插在地板之间,然后,到她看着的那具尸体旁边,盯着尸体的脑袋,两手的话,正好象猴子的父母帮小猴子捉虱子一般,为了取一本头发,一根一根地拔着。头发好象随着手的穿过慢慢地掉下来。

 


 
 その髪の毛が、一本ずつ抜けるのに従って、下人の心からは、恐怖が少しずつ消えて行った。そうして、それと同時に、この老婆に対するはげしい憎悪が、少しずつ動いて来た。――いや、この老婆に対すると云っては、語弊ごへいがあるかも知れない。むしろ、あらゆる悪に対する反感が、一分毎に強さを増して来たのである。この時、誰かがこの下人に、さっき門の下でこの男が考えていた、饑死うえじにをするか盗人ぬすびとになるかと云う問題を、改めて持出したら、恐らく下人は、何の未練もなく、饑死を選んだ事であろう。それほど、この男の悪を憎む心は、老婆の床に挿した松の木片きぎれのように、勢いよく燃え上り出していたのである。
(那头发,每一根都穿过的,那下人的心,恐怖一点点地消失了。然后,与此同时,对这老婆子的激烈的憎恶,一点点地变动了过来。——不,对这老婆子而言也许,也许有语病。不如说,对所有邪恶的反感,每一分钟也增加了坚强。这个时候,刚才在门下面这个男人考虑过,已被抛却的做小偷盗贼是不是成为生活的一种手段的问题,重新拿出来的话,大概那下人什么的留恋,不选择的事情还是坏事吧。那么,这个男人的邪恶之心,便随着老婆子的地板被插的松木片像这样,很有气势地很好地燃烧着。)
   那头发每一根都穿过下人的心,恐怖一点点地消失。随之而来的是对这老婆子的憎恶,一点一点地动并升上来。——不,对这老婆子,也许有语病。不如说,是对所有邪恶的反感,在每一分钟里增强。此时,如果有人向他重提刚才在门下考虑的是饿死还是当强盗的问题,大概这个下人会毫无留恋地选择饿死。那么,这个男人的邪恶之心,便随着老婆子的地板上插着的松木片那般,很有气势地,很好地燃烧着。



 
 下人には、勿論、何故老婆が死人の髪の毛を抜くかわからなかった。従って、合理的には、それを善悪のいずれに片づけてよいか知らなかった。しかし下人にとっては、この雨の夜に、この羅生門の上で、死人の髪の毛を抜くと云う事が、それだけで既に許すべからざる悪であった。勿論、下人は、さっきまで自分が、盗人になる気でいた事なぞは、とうに忘れていたのである。 
(那下人,当然不知道老婆子为什么拔死人的头发。)(因此,无法合理分清这是善还是恶。)(但是对于那下人来说,在这雨的夜里,在这个罗生门上把死人头发拔出的事是绝不能被允许的。)(到现在为止,下人已经忘记了自己刚才想当盗贼的事情了。)
   那下人当然不知道老婆子为什么拔死人的头发。因此,无法合理地分清这种行为是善还是恶。但是,在这雨的夜里,在这个罗生门上把死人头发拔出的事是绝对不能被允许的。当然,这个下人他已经忘记了自己刚才想当盗贼的事情了。

 



 
 そこで、下人は、両足に力を入れて、いきなり、梯子から上へ飛び上った。そうして聖柄ひじりづかの太刀に手をかけながら、大股に老婆の前へ歩みよった。老婆が驚いたのは云うまでもない。 
 老婆は、一目下人を見ると、まるで弩いしゆみにでも弾はじかれたように、飛び上った。 
(于是,那下人,两脚上一用力,从梯子上飞到最上面。)(把圣柄太刀拿在手上,大步向前揪住老婆子,老婆子很吃一惊,并像弹弓一样弹跳开来)
   于是,那下人,两脚上一用力,就从梯子上飞到最上面,一手抓住刀柄,一边大步地走到老婆子面前,老婆子很吃一惊,立刻像弹弓一样弹跳开来。


 

 
「おのれ、どこへ行く。」 
   你要去哪里?
   你往哪里去!


 
 下人は、老婆が死骸につまずきながら、慌てふためいて逃げようとする行手を塞ふさいで、こう罵ののしった。老婆は、それでも下人をつきのけて行こうとする。下人はまた、それを行かすまいとして、押しもどす。二人は死骸の中で、しばらく、無言のまま、つかみ合った。しかし勝敗は、はじめからわかっている。下人はとうとう、老婆の腕をつかんで、無理にそこへじ倒した。丁度、鶏にわとりの脚のような、骨と皮ばかりの腕である。 「何をしていた。云え。云わぬと、これだぞよ。」
(老婆子在尸体上跌了一跤,惊慌失措试图逃跑,下人吆喝着追上去拦截。)(即便如此,老婆子还想将下人推开,妄图逃跑,他二人在尸体间左推右搡,然而胜败早已注定。)(终于,下人抓住了老婆子的手臂,把她按倒在地。那胳臂瘦嶙嶙地皮包骨头,同鸡脚骨一样)(你在做什么?说不说?不说的话就宰了你)
  老婆子在尸体上跌了一跤,惊慌失措试图逃跑,下人吆喝着追上去拦截,即便如此,老婆子还想将下人推开,妄图逃跑。他二人在尸体间左推右搡。然而,胜败早已注定。——终于,下人抓住了老婆子的手臂,把她按倒在地。那胳臂瘦嶙嶙地皮包骨头,同鸡脚骨一般。
 
 你在做什么?说不说?不说的话就宰了你!



 
 下人は、老婆をつき放すと、いきなり、太刀の鞘さやを払って、白い鋼はがねの色をその眼の前へつきつけた。けれども、老婆は黙っている。両手をわなわなふるわせて、肩で息を切りながら、眼を、眼球めだまがの外へ出そうになるほど、見開いて、唖のように執拗しゅうねく黙っている。これを見ると、下人は始めて明白にこの老婆の生死が、全然、自分の意志に支配されていると云う事を意識した。そうしてこの意識は、今までけわしく燃えていた憎悪の心を、いつの間にか冷ましてしまった。後あとに残ったのは、ただ、ある仕事をして、それが円満に成就した時の、安らかな得意と満足とがあるばかりである。そこで、下人は、老婆を見下しながら、少し声を柔らげてこう云った。
 
下人摔开老婆子,拔出刀,举起来晃了一晃。可是老婆子不做声,只是双手发着抖,气喘吁吁地耸动着双肩,睁圆大眼,眼珠子几乎从眼眶里蹦出来,像哑巴似的顽固地沉默着。下人意识到老婆子的死活已全操在自己手上,内心有着安宁与满足。刚才火似的怒气,便渐渐冷却了,只想搞明白究竟是怎么一回事,便低头看着老婆子放缓了口气说

 

 
「己おれは検非違使けびいしの庁の役人などではない。今し方この門の下を通りかかった旅の者だ。だからお前に縄なわをかけて、どうしようと云うような事はない。ただ、今時分この門の上で、何をして居たのだか、それを己に話しさえすればいいのだ。」
( 我不是盗捕厅的官员,只是路过这罗生门的旅行的人。你在做什么呢?我身上没有带任何捆绳,你只消告诉我你现在在这做什么?)

 
  我不是盗捕厅的官员,只是路过的一个旅行者。并且身上没有带任何捆绳,你只消告诉我,你现在在做什么?

 

 
 すると、老婆は、見開いていた眼を、一層大きくして、じっとその下人の顔を見守った。の赤くなった、肉食鳥のような、鋭い眼で見たのである。それから、皺で、ほとんど、鼻と一つになった唇を、何か物でも噛んでいるように動かした。細い喉で、尖った喉仏のどぼとけの動いているのが見える。その時、その喉から、鴉からすの啼くような声が、喘あえぎ喘ぎ、下人の耳へ伝わって来た。 「この髪を抜いてな、この髪を抜いてな、鬘かずらにしようと思うたのじゃ。」 
(于是,老婆婆的眼睛瞪得更大了,注视着那下人的脸。)(眼眶红红的,象食肉鸟用锐利的眼睛看着。)(然后,把有皱纹的和鼻子挤一处的嘴唇象什么东西被咬着一样动着。)(牵动着细脖子的喉尖)(那时候,从那喉咙发出乌鸦啼般的声音,伴着喘息向下人的耳朵边传过来)(“我想拔了这头发,拔了这头发,做假发。”)
   于是,老婆婆的眼睛瞪得更大了,她注视着那下人的脸。眼眶红红的,象食肉鸟用锐利的眼睛看着一样。然后,把有皱纹的和鼻子挤在一处的嘴唇,象咬着什么东西一样地动着。牵动着细脖孙子兵法喉结,从喉咙里发出乌鸦啼般的声音,伴着喘息向下人的耳朵边传过来:

 
“我想拔了这头发,拔了这头发,做假发。”

 

 
 下人は、老婆の答が存外、平凡なのに失望した。そうして失望すると同時に、また前の憎悪が、冷やかな侮蔑ぶべつと一しょに、心の中へはいって来た。すると、その気色けしきが、先方へも通じたのであろう。老婆は、片手に、まだ死骸の頭から奪った長い抜け毛を持ったなり、蟇ひきのつぶやくような声で、口ごもりながら、こんな事を云った。
(下人听到老婆婆这出乎意料的平凡的这回答而失望。)(失望的同时,还有之前的憎恶同冷酷的蔑视一起涌上心头来了。)(看他的神情与气势,老婆婆一只手还拿起尸体的头上夺走了的长长的头发,用那样的声音吞吞吐吐地做着这些声明。)
   下人听到老婆婆这出乎意料的平凡的回答,感到失望。同时,连之前的憎恶同冷酷的蔑视一起涌上心头。看他的神情与气势,老婆婆一手还拿着一把刚从尸体上拔下的死人的长长头发,一边又吞吞吐吐地,作了这些的说明。

 


 
「成程な、死人しびとの髪の毛を抜くと云う事は、何ぼう悪い事かも知れぬ。じゃが、ここにいる死人どもは、皆、そのくらいな事を、されてもいい人間ばかりだぞよ。現在、わしが今、髪を抜いた女などはな、蛇を四寸しすんばかりずつに切って干したのを、干魚ほしうおだと云うて、太刀帯たてわきの陣へ売りに往いんだわ。疫病えやみにかかって死ななんだら、今でも売りに往んでいた事であろ。それもよ、この女の売る干魚は、味がよいと云うて、太刀帯どもが、欠かさず菜料さいりように買っていたそうな。わしは、この女のした事が悪いとは思うていぬ。せねば、饑死をするのじゃて、仕方がなくした事であろ。されば、今また、わしのしていた事も悪い事とは思わぬぞよ。これとてもやはりせねば、饑死をするじゃて、仕方がなくする事じゃわいの。じゃて、その仕方がない事を、よく知っていたこの女は、大方わしのする事も大目に見てくれるであろ。

(拔死人头发的事,也许是不好的事情。)(在这里的死人都是在干那样的营生,都是好人哟。)(被我拔掉头发的这个女人,是把四味蛇一寸一寸地切开来当成干鱼拿到兵营去卖的。)(味道好,所以当兵的会不间断地来买。若不是因为一场瘟疫,这个女人死了,否则的话,她还会干买鱼的营生,还会那样做的。)(我认为这个女人做的事不好。但必须得去做,否则就得饿死,如果是这样,那这还是坏事的吗,是没办法丢开的事吧。就现在,现在,我做的事也觉得是不好的事。但这不好还是必须做,还是坏事的吗,那么,我所熟悉的这个女人,大概也能原谅我对她做的这件事情,也是会被她宽容的吧。)
  拔死人头发这件事也许是不好的事。但在这里的死人,活着的时候都是干这样的营生。都是好人。被我拔掉头发的这个女人,她是把四味蛇一寸一寸地切开来当成干鱼卖到营地去。因为味道好,所以当兵的会不间断地来买。若不是因为瘟疫这个女人死了,否则的话她还会干那样的营生。我认为这个女人做的事不好,但她必须做,不做就得饿死。就象我现在做这件事也是不好,但不做我也得饿死一样。我相信这个女人大概也能原谅并宽容我继续拔她的头发的。

 

 

 

 
老婆は、大体こんな意味の事を云った。
 老婆婆大体上说了这些意思。

 

 
 
 下人は、太刀を鞘さやにおさめて、その太刀の柄つかを左の手でおさえながら、冷然として、この話を聞いていた。勿論、右の手では、赤く頬に膿を持った大きな面皰にきびを気にしながら、聞いているのである。
(那下人是,把太刀给刀鞘,那大刀的花纹用左手压住,冷淡了听了这番话。)(右边的手虽然很在意红脸颊脓拥有的大粉剌,正在听的。)
  正在听着的下人,把太刀插进了刀鞘,用左手压住有花纹的大刀,冷淡地听完这番话,用右手摸摸脸上有脓疮的粉刺。


 
しかし、これを聞いている中に、下人の心には、ある勇気が生まれて来た。それは、さっき門の下で、この男には欠けていた勇気である。そうして、またさっきこの門の上へ上って、この老婆を捕えた時の勇気とは、全然、反対な方向に動こうとする勇気である。
(但是,在听这个的时候,在他的心里,有一种勇气诞生了。那是,刚才在门下,这个男人所欠缺的勇气。然后,就在刚才这个门上爬上,抓住这老婆子时的勇气,是完全相反的方向的勇气。)
  这个时候,有一种勇气在他的心里诞生了。那是刚才在门下,这个男人所欠缺的勇气。而且,就在从刚才这个门上爬上来抓住这老婆子时的勇气,是完全相反的勇气。

 
下人は、饑死をするか盗人になるかに、迷わなかったばかりではない。その時のこの男の心もちから云えば、饑死などと云う事は、ほとんど、考える事さえ出来ないほど、意識の外に追い出されていた。 
(他不但不再为着饿死还是当强盗的问题烦恼,现在他已把饿死的念头完全逐到意识之外去了。)
   他不但不再为饿死还是当强盗的问题烦恼,现在他还把饿死的念头完全逐到意识之外去了。


 
「きっと、そうか。」
(一定,是那样)
  确定是那样吗?

 
 老婆の話が完おわると、下人は嘲あざけるような声で念を押した。そうして、一足前へ出ると、不意に右の手を面皰にきびから離して、老婆の襟上えりがみをつかみながら、噛みつくようにこう云った。

 
(听完老婆子的话,下人用嘲弄这样的声音说了一声。)(然后,拨开尸体,一把上前抓住老婆婆的衣领)

 
  听完老婆婆的话,下人拨开尸体,一把上前抓住老婆婆的衣领,用嘲弄的声音说

 
 「では、己おれが引剥ひはぎをしようと恨むまいな。己もそうしなければ、饑死をする体なのだ。」
(“那么,我剥掉你的衣服你也不会恨我,自己也不这样的话,也会因此会饿死。)
   那么,我剥你的衣服,你也不会恨我了。如果我自己不这样做的话,就会饿死。

 
 下人は、すばやく、老婆の着物を剥ぎとった。それから、足にしがみつこうとする老婆を、手荒く死骸の上へ蹴倒した。梯子の口までは、僅に五歩を数えるばかりである。下人は、剥ぎとっ檜皮色ひわだいろの着物をわきにかかえて、またたく間に急な梯子を夜の底へかけ下りた。
 (那下人是,迅速把老婆婆的衣服都脱了。)(然后打算踢倒尸体里的老婆婆,踢倒在尸体里的向上蹴倒上去。)(离梯子嘴上,仅五步数。)(那下人是用丝柏树皮剥取了的颜色ひわだ颜色把和服抱在一旁,一刹那,突然地在夜里梯子走到底)。
 那下人迅速把老婆婆的衣服都脱了,一脚将在尸体堆里的老婆婆踢倒,仅五步数就到了梯子口,把棕色的和服抱在一旁,很快就下了梯子,一刹那消失在夜底了。


 
しばらく、死んだように倒れていた老婆が、死骸の中から、その裸の体を起したのは、それから間もなくの事である。老婆はつぶやくような、うめくような声を立てながら、まだ燃えている火の光をたよりに、梯子の口まで、這って行った。
(暂且,象死了一样倒着的老婆子,尸体的里面,把那个裸体的尸体做了,然后就是不久的事情。) (老婆婆咕哝,呻吟般的声音一边立着,仍在燃烧的火焰之光,爬到梯子嘴上,爬上去了。)
    就是不久,死去般的老婆子从尸体堆里爬出光赤的身体,嘴里发出呻吟般的声音,咕哝着。借着仍在燃烧的松明之光,爬到楼梯口


 
そうして、そこから、短い白髪しらがを倒さかさまにして、門の下を覗きこんだ。外には、ただ、黒洞々こくとうとうたる夜があるばかりである。
(然后,从那里开始,短短的白发不忍推倒,从门下窥探。)(在外边,只是黑洞洞的一个夜晚的夜晚。) 
  向门下窥探,在外边,只是黑洞洞的一个夜晚的夜晚。

 

 
下人の行方ゆくえは、誰も知らない。
 (那下人的去向是,谁也不知道了。)
  那下人的去向,谁也不知道了。
   
(大正四年九月)

 
 

       翻译器来自有道,如有不妥之处,还望日本友人原谅啊!